Positive Deviance
ポジデビが創りだす持続可能社会
ー誰ひとり取り残さないために ー
What’s new
2018.10.15 | ポジデビ持続可能社会プログラムのホームページをオープンしました。 |
About
ポジティブ・デビエンスとは
-
子どもの栄養不良に悩むベトナム。
研究チームは貧困家庭でも健康な子どもに着目。 -
健康でいられるポジデビ行動を発見して、
ほかの家庭に導入する。 -
ポジデビ事例を広めたことで、
コミュニティが健康になった!
未知の才能を自ら見いだし 未来につなぐ
ポジティブ・デビエンス(略称ポジデビ)は、ないないづくしの中でも前向き(ポジティブ)でいられるためのちょっと変わった(デビエントな)行動のことです。国際医療協力や国際開発の分野で、先進的かつ持続可能な問題解決の糸口として、これまで注目されてきました。
ポジデビ手法は、1991年、国際NGOベトナムで実施した貧しい家庭の子どもたちの栄養不良対策をきっかけに注目され始めました。通常、専門家は「なぜ栄養不良になるのか?」という問題に着目し、先進国からの寄附や成功事例を適用します。しかし、この対策チームは、「貧しい環境のなかでも栄養状態の良かった子どもの食生活」に着目しました。そしてその食生活をコミュニティ内に広めることで、5万人以上の子どもたちの栄養を改善しました。手元に限られた資源しかなくとも、ポジティブな部分に着目し、それを広めていくことで根本的な課題解決が可能になるのです。
ポジデビ手法は資源が限られた状況にあっても、持続可能な社会を創り上げるための切り札です。
この手法がビジネスや地域コミュニティに広がることで、「ないものを求め続ける」ことから脱却して、「ちょっと変わっているけど、すでにある良いものを取り入れ困難を克服する」ことが可能になります。そうなれば、社会も無理なく自然に変わっていきます。
「誰ひとり取り残されることなく」与える側も受ける側も、それぞれが変わっていける社会になるのです。
Activities
東京大学の取り組み

1991年にベトナムの栄養対策で成功したポジデビはその後世界55か国に広がっています。適用分野は栄養・健康・教育・人道支援・企業改革など多彩です。持続可能な社会を創りあげるための切り札として、さらなる成長を遂げる時がきています。成果測定手法、成果発信手法に関する研究推進のために東京大学の力が不可欠です。
Advanced cases
先進事例
すでに日本でもポジティブ・デビエンスの取り組みが行われています。これらは、その先進事例です。
Message
代表者メッセージ
病気の原因は細菌やウィルスだけではありません。食事や運動不足だけでもありません。アジアやアフリカの国々では貧困、教育、政治、制度などが大きく関わっています。これらの原因と立ち向かう際、多くの場合、優れた解決策があります。しかし、モノ・ヒト・カネを大量につぎ込んで作られた解決策は長くは続きません。持続可能ではないからです。
持続可能性の欠如は、経済的に貧しい国や地域に特徴的な課題でした。ところが2016年、「持続可能な開発(Sustainable Development Goals: SDGs)」が地球規模の課題とされ、日本を含む世界共通の目標が17つ設定されました。共通するキーワードは「誰ひとり取り残さない」。東京大学もまたSDGsを切り口に、インクルーシブな社会(Society 5.0)実現のための社会変革を目指しています。持続可能な社会を創り上げるために、1991年にベトナムで始まったポジデビを、日本で世界で、より確かな手法として磨き上げる時です。

東京大学名誉教授神馬 征峰